ゆとりエリートの学力|世代による就職状況の違い

2012年の同テストでは数学が7位、読解力4位、科学4位と、ゆとり教育前のレベルに戻ってきて、「脱ゆとり教育」の効果が出たと言われているが、実は、この時受験した高校1年生は1996年生まれ。「究極のゆとり世代」なのだ。

引用元:ゆとり後期世代は「意外と有能」説の根拠 | DOL特別レポート | ダイヤモンド・オンライン

蔑称として使われている感がある「ゆとり」と、その教育。

一方で、上の引用文のような結果もある。

本当のところ、世代間別の学力は、どうなっているのか。就職率は。それを調べたのが当ページです。

国際学力調査のデータ

文部科学省のサイトでは、2000年から3年ごとに実施している「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)」と、1995年からは4年ごとに実施している「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)」が見られます。

当ページでは、「PISA」のデータを追うことで、国際的な順位から学力を測るものとします。まぁ、世界レベルで下がっていたらアレですけど、国内だけのデータだと、問題が簡単だった年代が過大評価されるでしょうし……。

 

年代別の順位

PISA調査のサイクルは3年。

対象は15才児。なので、生まれ年は単純に「-15」しています。

調査分野は、読解リテラシー(読解力)、数学的リテラシー、科学的リテラシー。この調査では、3分野のうちの1分野を重点的に調査し、その分野は実施年によって変わっています。

参加国の数も、実施年によって違います。その単位も正確には「国」ではなく、「国と地域」ですが、「ヵ国」と表記しています。

実施年(生まれ年) 参加国 読解順位 数学順位 科学順位
2000年(1985年) 32ヵ国 8位 1位 2位
2003年(1988年) 41ヵ国 14位 6位 2位
2006年(1991年) 57ヵ国 15位 10位 6位
2009年(1994年) 65ヵ国 8位 9位 5位
2012年(1997年) 65ヵ国 4位 7位 4位
2015年(2000年) 72ヵ国 8位 5位 2位

 

ゆとり教育を受けた期間と区分

2002年に、改定された学習指導要領が施行されました。この年を「ゆとり元年」とします。

授業時数を削減、完全学校週5日制。そりゃ、教員と学校職員の労働組合にとっては、作業量的に要求したくなる内容でしょう。

ちなみに、日本教職員組合は、幾つかの政党の支持団体の一つ。まぁ、党名は変わったりしていますが、中身的には そんなに……。

といった政治的な内容を書くと趣旨が逸れるので、この辺にしておきます。「政教分離原則」みたいなのが、教育基本法にも あるんですけどね。

法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。

参照元:第8条(政治教育):文部科学省

「ゆとり」の終わり、いわゆる「脱ゆとり教育」として、改定された学習指導要領が施行されたのは2011年から。とはいえ、小中高で施行年度が違いますが、このページでは小学校が2011年、中学校は2012年として書いています。

※ 前倒しは、考慮に入れません。

 

学齢と対象期間

入学時の年齢は、小学生が6才、中学生が12才。15才で中学校を卒業するまでを範囲と捉えると、ゆとり教育が始まった2002年に14才になる1988年生まれから、2010年に6才になる2004年生まれまでが対象者。

※ 一部脱ゆとり教育は、ゆとり教育期間とします。

生まれ年 小学校教育 中学校教育
1988年 ゆとり0年間 ゆとり1年間
1989年 ゆとり0年間 ゆとり2年間
1990年 ゆとり0年間 ゆとり3年間
1991年 ゆとり1年間 ゆとり3年間
1992年 ゆとり2年間 ゆとり3年間
1993年 ゆとり3年間 ゆとり3年間
1994年 ゆとり4年間 ゆとり3年間
1995年 ゆとり5年間 ゆとり3年間
1996年 ゆとり6年間 ゆとり3年間
1997年 ゆとり6年間 ゆとり3年間
1998年 ゆとり6年間 ゆとり2年間
1999年 ゆとり6年間 ゆとり1年間
2000年 ゆとり5年間 ゆとり0年間
2001年 ゆとり4年間 ゆとり0年間
2002年 ゆとり3年間 ゆとり0年間
2003年 ゆとり2年間 ゆとり0年間
2004年 ゆとり1年間 ゆとり0年間

 

ゆとり区分

こうして見ると、1995年~ら1998年に生まれた「ゆとり教育」どっぷり世代と、少しかすっている世代がいるのがわかります。

当ページでは、どっぷり世代を「ゆとりエリート」と呼称。中学校がゆとり教育だった「1990年~1994年生まれ」までを「中ゆとり」。小学校が半分以上ゆとり教育だった「1999年~2002年生まれ」までを「小ゆとり」とします。

 

ゆとりエリートの学力

ゆとり区分を決めたので、先の学力調査の表に当てはめます。

実施年(生まれ年) ゆとり区分 読解順位 数学順位 科学順位
2000年(1985年) ゆとり以前 8位 1位 2位
2003年(1988年) 1年だけ ゆとり 14位 6位 2位
2006年(1991年) 中ゆとり 15位 10位 6位
2009年(1994年) 中ゆとり 8位 9位 5位
2012年(1997年) ゆとりエリート 4位 7位 4位
2015年(2000年) 小ゆとり 8位 5位 2位

 

ゆとり教育に関する感想

最初の引用文の通り、「ゆとりエリート」は、成績が良かったと言えるでしょう。

もちろん、これは世界的な順位の比較でしかないので、世界レベルでバカになっていたら、「優秀」とは言えません。とはいえ、そんなことは考えにくいでしょうから、指標として機能しているはず。

引用元で『「ゆとり教育」だから学力が低下したという根拠はない』という指摘があり、それに反論する気はないですが、2006年の下落ぶりに対する私の見解は違います。

2003年、2006年と、ガクッと下がっていますが、そこにあったのは“現場の混乱”ではないかと思うのです。根拠はありません。ただ、物事の変化に対する人間の反応から推測しただけ。例えば、消費税の増税でレジが混乱するように、教育方針の変更で現場が混乱するみたいな感じです。

単純に、慣れないことが増えると、ミスは出るでしょうし、心の余裕もなくなる。その世代が“犠牲”になるのは、避けては通れない。最初に思ったのは、そんな感じのことでした。

次に脳裏をよぎったのは、戦後の教科書です。教科書に墨が塗られた世代は、「今まで習ったことは、何だったのだろう」と思ったことでしょう。“今まで”を否定されたら、“それまで”頑張ってきた人ほど、投げ出したくなるかもしれない。そんなことを考えました。

分野的な感想としては、「読解力」が落ちれば、他も落ちるだろうというもの。意図をくみ取れないなら、影響は各所に出るでしょう。

あと、重点的に見る分野が実施年によって違うので、単純な順位比較は調査が意図するところじゃない。そういう風にも感じました。

サラッと資料を読んだ程度の私で思うのだから、この調査を知る人ほど順位だけ強調されることに、違和感があったのかもしれません。順位比較でいいのなら、習熟度レベル別の結果なんて不要ですからね。

順位と言えば、参加国の数が違います。どこと競っているのか、それも指標としては重要です。そこを詳しく調べる気はないですけども。

 

世代間の学力差と就職状況

読んではいませんが、「分数のできない大学生」なんて本が出たのは1999年。学力低下への警鐘を鳴らすとかなんとか、そういう流れは本が出る前からあったように思います。

ただまぁ、「受験」などで飯を食っている側の人間が主張する場合、商売上の理由から言うこともあるでしょうから、その辺は差し引いて考えるべきでしょう。

なのに、繰り返される「若者の学力低下」報道で、まるで「若者がバカになっている」と思える人が増えているのかも。実際には「凶悪犯の認知・検挙件数」は下がっているのに、繰り返される報道を見て「増えている」と感じるように……。

上の犯罪情勢を見ると、戦後の数値がヤバいです。時代背景というか、生活環境的に無理からぬことですけども。特に、貧困からくる強盗の多さは、今とは桁違い。

少年による殺人は、1951年に443人を記録。以降、増減はあるものの減少傾向でしたが、1990年以降は2桁台。2010年から3桁台になり、全体の8.4%を占めることに。

殺人における来日外国人の検挙人員は、統計を取り始めた1980年は1人でしたが、1999年には50人となり、全体の3.8%を占めています。これも情勢ってやつでしょう。

世代間の学力差に触れる前に、考慮するべき時代背景として、「学問どころじゃない人」もいるのだと、書いておきます。

おそらく、移民として入って来る子の中には、親が日本語の読み書きが不自由というケースもあるでしょう。そうなると、日常生活レベルでの違いから、子どもの学力に影響が出て、学力調査の結果も下がるのは、想像に難くありません。

今、ヤクザと言えば、ハロウィン・イベント問題、前科3犯 893番の懲役太郎さんを連想するかもしれませんが、先の資料を見れば ヤクザと犯罪の関係性に違った印象を持つかもしれません。

1970年代後半、タイやフィリピンが行き先だった児童売春ツアーには、ヤクザが同行していたと聞きます。その年代に お金を持っていた大人たちは、どの世代か。どうヤクザと付き合っていたのか。そういう視点で見ると、別の世界が見えて来るかも。

なお、強姦は1964年がピークです。強姦の全検挙人員に占める少年の割合は、昭和1957年~66年まで50%前後。その頃に少年だったとなると、生まれ年は……。

 

世代の分類

『時代背景を考える』という前置きをしたので、次は昭和世代をターゲティングしていきます。細分化するにあたり、日本経済新聞の『「団塊」「バブル」「ロスジェネ」「ゆとり」… サラリーマン世代論』を参考にしました。

参照元にある世代別の「タイプ」の解説を見ると、昔から新入社員を「〇〇型」と称し、物に例えて“扱いづらさ”を嘆いているのがわかります。「最近の若者は……」という言葉を繰り返すかのように。

しかし、それは新人を扱いきれない“上司としての無能さ”の露呈と言えるかも……。いや、穏やかに「時代の変化が早すぎて、世代間ギャップが激しい不幸な時代」とでも言えばいいでしょうか。

団塊世代

1947年~1949年生まれ。

新人類

1955年~1964年生まれ(引用元では、1950年代後半)。

バブル世代

1965年~1969年生まれ。

団塊ジュニア(氷河期、ロスジェネ世代)

1970年~1984年生まれ。

第2次ベビーブーマーは、1970年~1974年生まれ。

ポスト団塊ジュニアは、1975年~1984年生まれ。

※ 昭和は、1989年1月7日まで。1950年代の前半、1985年から数年間は、名称のない空白の世代です。「しらけ世代」は定義が曖昧なので、使用しないことにします。

 

世代別の大学進学率

「国際的な学力調査」といった わかりやすい指標が見つけられない年代だったので、4年制の大学進学率を見ることにします。大学を目指さない時点で、差は出てくるでしょうからね。

データは『4年制大学への進学率と18歳人口の推移|武庫川女子大学』を参考にしました。進学率は、男女平均です。

団塊世代が18才になる1965年から、最後の団塊ジュニアが18才になる2002年までを検証します。

大学進学率 世代 備考
1965年 12.8% 団塊世代 全共闘運動、国立旧一期校・二期校
1966年 11.8% 団塊世代 全共闘運動、国立旧一期校・二期校
1967年 12.9% 団塊世代 全共闘運動、国立旧一期校・二期校
1968年 13.8% 空白の世代 全共闘運動、国立旧一期校・二期校
1969年 15.4% 空白の世代 全共闘運動、国立旧一期校・二期校
1970年 17.4% 空白の世代 国立旧一期校・二期校
1971年 19.4% 空白の世代 国立旧一期校・二期校
1972年 21.6% 空白の世代 国立旧一期校・二期校
1973年 23.4% 新人類 国立旧一期校・二期校
1974年 25.1% 新人類 国立旧一期校・二期校
1975年 27.2% 新人類 国立旧一期校・二期校
1976年 27.3% 新人類 国立旧一期校・二期校
1977年 26.4% 新人類 国立旧一期校・二期校
1978年 26.9% 新人類 国立旧一期校・二期校
1979年 26.1% 新人類 大学共通第1次学力試験
1980年 26.1% 新人類 大学共通第1次学力試験
1981年 25.7% 新人類 大学共通第1次学力試験
1982年 25.3% 新人類 大学共通第1次学力試験
1983年 24.4% バブル世代 大学共通第1次学力試験
1984年 24.8% バブル世代 大学共通第1次学力試験
1985年 26.5% バブル世代 大学共通第1次学力試験
1986年 23.6% バブル世代 大学共通第1次学力試験
1987年 24.7% バブル世代 大学共通第1次学力試験
1988年 25.1% 団塊ジュニア 大学共通第1次学力試験
1989年 24.7% 団塊ジュニア 大学共通第1次学力試験
1990年 24.6% 団塊ジュニア 大学入試センター試験
1991年 25.5% 団塊ジュニア 大学入試センター試験
1992年 26.4% 団塊ジュニア 大学入試センター試験
1993年 28.0% 団塊ジュニア 大学入試センター試験
1994年 30.1% 団塊ジュニア 大学入試センター試験
1995年 32.1% 団塊ジュニア 大学入試センター試験
1996年 33.4% 団塊ジュニア 大学入試センター試験
1997年 34.9% 団塊ジュニア 大学入試センター試験
1998年 36.4% 団塊ジュニア 大学入試センター試験
1999年 38.2% 団塊ジュニア 大学入試センター試験
2000年 39.7% 団塊ジュニア 大学入試センター試験
2001年 39.9% 団塊ジュニア 大学入試センター試験
2002年 40.5% 団塊ジュニア 大学入試センター試験

 

昭和世代の大学進学に対する感想

参考元を見ると、まずは女性の進学率の低さが目に留まります。4年制なので、短大は入っていない。これも大きいでしょう。

6年制の学部もありますが、薬学部などは2006年以前は4年制課程だったとか……。

それはともかく、参考元のように男女別の進学率が無いと、表としては不十分だというのが最初の感想です。男性の進学率は徐々に上がっていて、「新人類」の辺りからは3割以上。対して、女性の進学率はバブル崩壊辺りから上昇率が上がっています。

男女共同参画社会基本法の施行は1999年なので、それよりも前からになります。1986年に施行された男女雇用機会均等法の影響でしょうか? この辺の検証は、専門でやっている人がいそうなので、特に言及しません。

学力の検証という意味では、「役に立たない表を作っちゃったな」と思うだけ。本当にもう、その感想しかない。

 

世代別の大卒就職率

データは『大学卒業者数と就職率・大学院進学率の推移|武庫川女子大学』を参考にしました。就職率は、男女平均です。

団塊世代が22才になる1969年から、最後の団塊ジュニアが22才になる2006年までを検証します。なお、2008年・2011年に転機となる出来事があるので、2012年までのデータを用意しています。

余裕がある人は、参考元データの1991~1992年の男女別の就職率を見てください。女性の就職率が、男性を上回っています。「バブル崩壊期の変化の一つ」と見ていいのか わかりませんが、これ以降は男女差が小さくなっているのは確か。そして、2000年を境に女性が就職率の方が高くなっています。

あと、新卒一括採用は、戦前からある模様。

人

「やっぱ新卒一括採用だよね。機会不均等? 何それ美味しいの?」

大卒就職率 世代 備考
1969年 79.0% 団塊世代 高度経済成長期、全共闘運動
1970年 78.1% 団塊世代 高度経済成長期、大阪万博、よど号ハイジャック事件
1971年 79.0% 団塊世代 高度経済成長期、ニクソン・ショック
1972年 75.7% 空白の世代 高度経済成長期、あさま山荘事件
1973年 75.3% 空白の世代 高度経済成長期、第1次オイルショック
1974年 76.9% 空白の世代 ハーグ事件
1975年 74.3% 空白の世代 ベトナム戦争の終結
1976年 70.7% 空白の世代 ロッキード事件、四五天安門事件
1977年 72.0% 新人類 毒入りコーラ事件、ニューヨーク大停電
1978年 71.9% 新人類 江川事件(プロ野球)
1979年 73.6% 新人類 第2次オイルショック
1980年 75.3% 新人類 第2次オイルショック
1981年 76.2% 新人類 「IBM PC」の発表、ロス疑惑
1982年 76.7% 新人類 フォークランド紛争、IBM産業スパイ事件、ロス疑惑
1983年 76.4% 新人類 日本海中部地震、ファミコンの発売
1984年 76.7% 新人類 「Macintosh」の発表、グリコ・森永事件
1985年 77.2% 新人類 プラザ合意、JAL123便墜落事故(注1)
1986年 77.5% 新人類 男女雇用機会均等法の施行(注2)
1987年 77.1% バブル世代 国鉄分割民営化、ブラックマンデー、大韓航空機爆破事件
1988年 77.8% バブル世代 ペレストロイカの開始、東京ドームの開場
1989年 79.6% バブル世代 平成元年、消費税3%で導入、六四天安門事件
1990年 81.0% バブル世代 東西ドイツの統一、湾岸戦争
1991年 81.3% バブル世代 バブル崩壊期、ソ連崩壊、湾岸戦争
1992年 79.9% 団塊ジュニア バブル崩壊期、PKO協力法の成立
1993年 76.2% 団塊ジュニア バブル崩壊期、北朝鮮がノドン1号を試射
1994年 70.5% 団塊ジュニア 北海道東方沖地震、井の頭公園バラバラ殺人事件
1995年 67.1% 団塊ジュニア 阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件、Windows95発売
1996年 65.9% ポスト団塊Jr. 労働者派遣法改正、ジョンベネ殺害事件
1997年 66.6% ポスト団塊Jr. 男女雇用機会均等法の改正、消費税5%(注3)
1998年 65.6% ポスト団塊Jr. 派遣適用対象業務が事実上自由化、テポドン発射
1999年 60.1% ポスト団塊Jr. 男女共同参画社会基本法の施行、東海村JCO臨界事故
2000年 55.8% ポスト団塊Jr. 介護保険法の施行、雪印集団食中毒事件
2001年 57.3% ポスト団塊Jr. 21世紀、アメリカ同時多発テロ、情報公開法が施行
2002年 56.9% ポスト団塊Jr. 北朝鮮が、日本人拉致問題を公式に認める
2003年 55.1% ポスト団塊Jr. イラク戦争の始まり、SARS
2004年 55.8% ポスト団塊Jr. 新潟県中越地震、イラク日本人人質事件
2005年 59.7% ポスト団塊Jr. スマトラ島沖地震、ハリケーン「カトリーナ」
2006年 63.7% ポスト団塊Jr. ジャワ島南西沖地震、フセイン元大統領の死刑執行
2007年 67.6% 空白の世代 男女雇用機会均等法の再改正、上海ショック
2008年 69.9% 空白の世代 リーマン・ショック、年越し派遣村
2009年 68.4% 空白の世代 WHOがパンデミック宣言、年越し派遣村、ウイグル騒乱
2010年 60.8% ゆとり初期の世代 チリ地震
2011年 61.6% ゆとり初期の世代 東日本大震災、イラク戦争の終結宣言
2012年 63.9% ゆとり初期の世代 東京スカイツリーが開業
注1

最初のドメイン名が登録、つくば'85の開催、グリコ・森永事件、日本電信電話公社からNTTへ、専売公社からJTになったのも、この年です。

注2

チェルノブイリ原子力発電所事故、スペースシャトルのチャレンジャー号爆発事故も、この年です。

注3

アジア通貨危機、第一勧業銀行の総会屋利益供与事件が発覚、山一證券が経営破綻、北海道拓殖銀行が経営破綻、香港返還も、この年です。

人

「高度経済成長は、戦後から1960~1970年代にかけて、他の国でも見られる傾向よ。日本が特別ってわけじゃない」

 

世代別の事情

5時を過ぎたら飲み屋に客が
団塊世代

1947年~1949年生まれ。

15才になるのは、1962~1964年。

18才になるのは、1965~1967年。

22才になるのは、1969~1971年。

65才になるのは、2012~2014年。

新人類

1955年~1964年生まれ(引用元では1950年代後半)。

15才になるのは、1970~1979年。

18才になるのは、1973~1982年。

22才になるのは、1977~1986年。

65才になるのは、2020~2029年。

バブル世代

1965年~1969年生まれ。

15才になるのは、1980~1984年。

18才になるのは、1983~1987年。

22才になるのは、1987~1991年。

65才になるのは、2030~2034年。

団塊ジュニア(氷河期、ロスジェネ世代)

第2次ベビーブーマーは、1970年~1974年生まれ。

ポスト団塊ジュニアは、1975年~1984年生まれ。

15才になるのは、1985~1999年。

18才になるのは、1988~2002年。

22才になるのは、1992~2006年。

65才になるのは、2035~2049年。

ゆとり世代

1987年~2004年生まれ(当ページでは1988年~)。

15才になるのは、2002~2019年。

18才になるのは、2005~2022年。

22才になるのは、2009~2026年。

65才になるのは、2052~2069年。

こうして見ると、団塊世代は大学に進学しても学ばず、学生運動をしていたかと思えば、就職時期にはピタッとやめて、高度経済成長期に社会人スタート。会社で中堅ポジションを築く頃にはバブル。崩壊後は、あと十数年 逃げ切ればいいと、失われた20年を演出。その責任は取らないけど、若者の貧困は「自己責任」と、責任転嫁は大得意。退職後は、払った以上の年金を貰うだけ。そう捉えることもできます。

大学進学率は低かったので、それは少数派だ。すし詰め学級で大変だった。どこへ行っても競争だったとも言えるでしょう。その辺は、京都文教大学の『団塊世代が児童期に受けた家庭教育論レビュー』あたりで。

新人類は、就職したと思ったらオイルショック。人によっては民営化。でも、仕事に慣れてきた頃にはバブル到来。親になったら、元祖モンスターペアレントとして猛威を振るう。職場で責任あるポジションに就いたら、労働力は非正規雇用で確保。人の生活なんて、知ったこっちゃない。見捨てられた氷河期世代が問題になったけど、もうすぐ退職だから関係ない。中には、バブル崩壊後のリストラで、お先真っ暗になった同僚もいるけど。そう捉えることも……。

バブル世代は、就職活動してたら豪華ツアーに連れ出され、お車代も破格の金額。入社後も経費は使い放題で、今じゃできないような体験も数々……。すべてが、狂っていた。この頃に染みついたブランド志向から抜け出せず、不景気になっても全身ブランド装備。企業を取り巻く環境が変わり過ぎて、まともなビジネス感覚が養えなかった人は、ある意味 不幸と言えるかも。後の世代を圧迫するほどの大量雇用世代なので、今じゃ使えない人材としてリストラ候補の筆頭に?

団塊ジュニア、第2次ベビーブーマーは、校内暴力のピーク時に青春時代を謳歌。かと思えば、団塊世代が受験戦争へと駆り立て、かつての夢を子供が背負う羽目に。なのに、高卒で就職したヤツはバブルの恩恵を受け、大卒は就職氷河期という不運の世代。運よく就職しても、上司は浮かれ気分のバブル世代。就職活動では接待される側だった人たちと、どこまでも話が合わない。自分たちは圧迫面接だったんだから、無理もない。「俺たち、大変だな」と思っていたけど、5年ほど経って後輩の現状を見たら、「アイツらよりマシ」と思えて……以下略。

団塊ジュニア、就職率が55.1%と低い2003年卒のポスト団塊ジュニアは、小学校のうちにバブルは終わっていて、消費税が少ない小遣いを奪い始めた年代。恋をしたい年頃になっても、コギャルブームの到来で同級生の顔は真っ黒。同い年と恋愛する気も起きなければ、そもそも金が無いので相手にされない。向こうはブルセラショップで物を売り、団塊や新人類なオッサン相手の援助交際に明け暮れる日々。大卒で就職できなければ留年し、新卒という武器を維持するものの、翌年の就職率も低い。派遣で働くもスキルは身に付かず、使い潰されて年越し派遣村。所詮 日本の就職は、新卒一括採用の新卒限定1回ガチャ。実家で暮らすしかなく、微々たる給料でも頑張っているのに、「こどおじ」と言われ始める……。

ゆとり世代は、自分が望んだわけでもないのに、押し付けられた教育制度でバカにされる始末。リーマン・ショック、東日本大震災と、不景気なことはあったけど、それでも氷河期先輩に比べれば、まだまだラッキー。

 

当ページの目的

「世代」で一括りにしていますが、学力に「個人差」があるのは言うまでもないこと。就職事情も同様。「この世代は……」と、一緒くたにして語ってはいけないことがあります。

そう思いながらも各世代の学力や事情を調べたのは、「老人が考える若者像」「若者が考える老人像」みたいなのを打ち砕くためです。

何か創作物を作る際、中年の作者がイメージする「団塊世代」や「ゆとり世代」と、実際の世代では実情との隔たりがあるでしょう。その差異を少なくできたら、ステレオタイプな人物が織りなす物語の量産に、変化を促せるのではないか。そういう発想があったからです。まぁ、この記事が多くの人の目に触れることは ないでしょうから、妄想の域を出ない話ですけどね。

歴史ものを創作する際、時代背景を考えます。こういう時代だったから、その人の考えは当時としては普通だった。そういう視点が、現代における人物像にも要る。そんな気持ちだけでも、伝わってれば嬉しいかも。創作活動をしていない人にも、「へぇ~」と思える箇所があれば幸いです。

 

個人的な考え

学力以前に、これだけ時代が変わってるのに、同じことを習っていて いいんだろうか。そんな疑問もあります。「紙とペンと電話」で仕事をしていた頃ならいざ知らず、文字すら書かずに業務が終わる人が大半な時代にねぇ……。

また、授業についていけずに「無駄な時間」を過ごす人を思うと、同じことを習うという“平等”を捨て、他のことをさせた方が その人のためのような気もします。ついていけない人に邪魔されて、人生を狂わされる人もいますし。

同時に、下手な先生の話を聞いて板書するだけの授業なら、教え方がうまい先生の授業を動画配信し、それで学べた方がコスパがいいとも……。

一方で、旧態依然とした授業スタイルが継承されているから、古い創作物の「授業シーン」が、今でも理解しやすいという側面もあるでしょう。

大きな変化が起これば、その変化で収入が減る人もいる。だからといって、変わるべきものを そのままにするのも、問題だろうなと書いて終わりにします。