年金の計算をしてみた
年金の支払額と給付額を計算し、あれこれ書いているページです。
まずは、男性なら、掛け金の1.49倍。女性なら、1.98倍になり得る金融商品という話から。最初に書いているのは、「国民年金(老齢基礎年金)」のこと。厚生年金保険法における「厚生年金(老齢厚生年金)」は後で。
国民年金の利回り
Q. 国民年金の保険料はいくらですか。
平成30年度(平成30年4月~平成31年3月まで)は月額16,340円です。
20歳から60歳まで国民年金に加入した方は60歳で保険料を納め終わり、年金の支給は65歳から始まります。
年金の支給は65歳からですが、繰上げ受給を選択した場合は、減額されて早く始まります。このページでは、繰上げ受給をしない前提で話を進めます。
20歳からの40年間、全額支払うとすると、月額16,340円×480ヶ月で、総額7,843,200円になります。
20歳から60歳になるまでの40年間の全期間保険料を納めた方は、65歳から満額の老齢基礎年金が支給されます。
平成30年4月分からの年金額 779,300円(満額)
1年間で779,300円貰えるので、支払総額である7,843,200円を超えるには、10.0644167843……。まぁ、11年以上 生きればいい計算になります。
日本人の平均寿命は、「主な年齢の平均余命|厚生労働省」によると、平成22年で男性が79.64歳、女性が86.39歳でした。
おおよその目安として男性が80歳、女性が85歳と見れば、男性で15年、女性で20年は支給されることになります。額にして、男性が11,689,500円、女性は15,586,000円という計算に。その差は3,896,500円。
7,843,200円ほど支払えば、男性が11,689,500円、女性は15,586,000円 支給されるので、男性なら支払った掛け金の1.49039932681倍、女性なら1.98719910241倍になる金融商品と言えます。
しかも、障害年金や遺族年金も付与されていて お得。やったね!
でも……。
障害年金は、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。
引用元:障害年金|日本年金機構
遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者であった方が、亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受けることができる年金です。
引用元:遺族年金|日本年金機構
保険料の変化
「国民年金保険料の変遷|日本年金機構」を見ると、昭和36年4月~昭和41年12月は35歳未満が定額100円、35歳以上が定額150円でした。物価が違うので単純に比較できませんが、今と昔では額が大きく違います。昭和45年7月以降をグラフにすると、次のようになります。

「わお!」
当たり前のことですが、払ってもらった額以上を支払わなきゃいけない計算になるので、どこかで調達しなくてはいけません。問題は、どこで調達するかですよね。賢く運用して増やしてくれれば、額に反映されると思うかもしれませんが……。
Q. 年金の運用実績がここ最近は良かったにもかかわらず、年金額が増えないのはなぜですか。また、年金の運用実績が悪くなった場合は、年金額は減ってしまうのですか。
A お答えします
厚生年金保険法及び国民年金法において、積立金の運用については、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うこととされています。
また、年金額については、賃金や物価といった経済動向を基に改定することと法律上定められており、これに基づく改定を行っております。
そのため、年金の積立金は、将来の年金財政の安定のために使われるものであり、年金額は、運用が良かった翌年に還元し増額する、運用が悪かったから翌年に減額するようなものではありませんので、年金の積立金の短期的な運用成績には影響されません。
引用元:年金の運用実績がここ最近は良かったにもかかわらず、年金額が増えないのはなぜですか。また、年金の運用実績が悪くなった場合は、年金額は減ってしまうのですか。|日本年金機構
国民年金保険料の納付率
『「年金保険料の徴収体制強化等に関する論点整理」について』という資料によると、平成22年度における国民年金保険料の納付率は64.5%でした。
厚生労働省年金局の『平成28年度の国民年金の加入・保険料納付状況』という資料によると、国民年金被保険者は 1,575万人で、納付対象者数は 992万人。
先のデータと年度は違いますが、それだけの対象がいるものの、その35%は納めていないという……。全員が全額免除されているとは考えづらいので、自分の意思で払っていない人がいるのでしょう。
収入の減少や失業等により保険料を納めることが経済的に難しいときの手続きをご案内します(保険料免除制度・納付猶予制度)。
(中略)
※ 学生の方はこの制度を利用できません。「学生納付特例制度」を利用してください。
(中略)
1年で受け取れる年金額のめやす (平成30年度の金額)
老齢基礎年金
・40年納付した場合 779,300円
・40年全額免除となった場合(国庫負担2分の1で算出した場合) 389,700円
障害基礎年金 1級 974,125円 2級 779,300円
遺族基礎年金 子(1人)がある配偶者 1,003,600円
年金の赤字は、どこで補填しているのか
未納と支払額を見ると、どこで補填してるのか、気になるところ。ということで、厚生年金の話に変わります。
厚生年金に加入している会社員は、給与から天引きされているので、いくら払っているのか把握していない人もいるでしょう。そこがミソ。会社側が半分 負担しているので、安く感じている可能性も……。
厚生労働省年金局の「全国厚生労働関係部局長会議 年金局 説明資料」で、保険料は月給の18.3%とあります。稼いでいる人ほど、多いわけですね。具体的な数字は、日本年金機構の「平成29年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表」が参考になるでしょう。

会社員「半分も払ってくれてるなんて……。サンキュー、会社!」

経営者「折半分は、あるべき給与から引いておくか」
厚生年金の支給額は支払った額、つまりは所得に比例するので、国民年金のような計算は できません。先の資料には、基礎年金+厚生年金で月平均 約154,000円とあります。
基礎年金の満額が約65,000円(年779,300円÷12ヶ月)とあるので、89,000円が厚生年金分ということに……。これは平均値ですから、多い人が押し上げていることでしょう。
保険料は月給の18.3%と書きましたが、2004年は13.58%とあります。2017年で18.3%ということはですよ、この10年で5%近くも高くなっているという……。
2004年の給与が20万円だとしたら、月に27,160円。2017年の給与も20万円だとしたら、月に36,600円。同じ給与で見たら、1.34756995582倍の負担増。35%増って書いたら、「うひゃ~」って感じ。
現役世代だけ、いつの間にか税負担を上げられている状態ですね。
厚生年金の支払額
doda(デューダ)の「平均年収ランキング」によると、年代別の平均年収は20代が346万円、30代が452万円、40代が528万円、50代以上が645万円となっています。
先の厚生年金保険料額表に当てはめると、20代は18等級で折半額25,620円。30代は22等級で32,940円。40代は25等級で40,260円。50代は28等級で48,495円という月額負担になります。これは折半額なので、全額を出すなら×2です。
なお、標準報酬月額は4月・5月・6月の給料の平均額ですが、上記の等級は年収を12で割って出しています。年収÷12ヶ月なので、ボーナスとか、諸手当とか、その辺は考慮していません。ボーナスは、保険料率を掛けて算出するそうです。
そんな感じで雑な計算をすると、20代で折半額3,074,400円。30代で3,952,800円。40代で4,831,200円。50代で5,819,400円。総計17,677,800円の保険料を60歳までに支払う計算になります。
取り敢えず、60歳までの計算をしていますが、企業で働いている間は、70歳まで厚生年金の支払いが必要になります。
Q. 65歳以上のフルタイムで働く従業員は、厚生年金保険にも加入する義務がありますか。
A お答えします
厚生年金保険に加入する事業所に勤務する70歳未満の人は、原則として厚生年金保険の被保険者となります。
Q. 年金額を増やすために、70歳を過ぎても厚生年金保険に加入できますか。
A お答えします
会社に勤めていても70歳になれば、厚生年金保険に加入する資格を失います。
さて、dodaの平均給与での総計は17,677,800円でした。念のために書きますが、これは折半額ですからね。
違う資料の平均になりますが、「全国厚生労働関係部局長会議 年金局 説明資料」にあった「基礎年金+厚生年金」の月平均は約154,000円でしたので、支払った額を回収するには、65歳になってから114.790909091ヶ月以上 生きればいい計算になります。9.56590909092年ですね。
「おぉ!」
……と、思いました? 残念。先の額は、折半額です。
全額だと、35,355,600円。229.581818182ヶ月で19.1318181818年。約20年で元が取れる計算なので、85歳まで生きてペイする感じでしょうか。男性の平均寿命を超えてるので、平均的な人は払い損が確定です。
これで幾らか、赤字分を補填できましたね。

自営業「サンキュー、会社員」

会社員「ガッテム、自営業」
上の画像の会話だけ見れば、自営業者がお得に思えるかもしれませんが、配偶者や被扶養者がいると事情は変わってきます。
雑な計算をしましたが、きちんと計算してみたい人は、「厚生年金保険の保険料|日本年金機構」や「厚生年金保険料の計算方法について|日本年金機構」を。
終わりに
似たようなことは、健康保険にも言えます。
国から見れば、少子化になれば払う人が減って損をするから、子供を産んでほしい。平均寿命が伸びたら損をするけど、引退したら「早く死ね」とは言えない。そんなところ。
国民から見れば、こんなに負担が増えて、子育てどころじゃない。年金が少ないから、増やしてほしい。そんなところ。
じゃ、制度をやめて返金&自己責任だとなれば、それで飯を食ってる人が反対する。いきなり収入が絶たれる人は生活保護へ。生活保護になったら、医療費も免除。う~ん……。
たいした額を納めていないのに、60歳から給付されてる世代を羨ましがっても仕方がない。自分も長生きをするというリスクを背負っている……。
かといって、長生きを望まずに不摂生をし、それが医療費の増大に繋がれば、健康に気を使って働いている人の負担を増すことに……。健康に気を使ってる人の保険料が安くなる仕組みも、国によってはあるけれど、それは国民皆保険制度じゃないから。
「どうしたもんでしょうねぇ……」という問いに、下の本がひとつの答えを出していますので、興味があったら読んでみてください。
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