迷惑メール「くらし便利帳」の正体

結論

自治体の「くらし便利帳」を装った迷惑メールの元凶は、おまかせホットライン株式会社の「テンプレート集客法」にあります。

迷惑メール「くらし便利帳」の画像

「ホームページを拝見しました」という件名で、何度かメールを受け取りました。あるときは東大阪市、あるときは東京都墨田区、あるときは神戸市中央区と、市区町村名だけ変えて後は同じ文章。

連絡先は違うのに、まったく同じ文面で届くので、その理由を探ってみたところ、おまかせホットライン株式会社の「テンプレート集客法 ver2.0」に行き着きました。

 

迷惑メールの概要と狙い

このメールの主なポイントは、次の通り。

  • 地域検索サイトを運営しているので登録してほしい
  • 登録・掲載は無料
  • 入力作業は5分で完了
  • 登録URLは、http://kurashibenri.com/xxx/recruitment/

メール内容を端的に言えば、何も損をすることがないので、地域検索サイトに登録してほしいの一言に尽きます。文章をそのまま受け取れば、「何も損をすることがない」になりますが、登録時には自分の連絡先といった情報を提供することになります。そこが彼らの狙いです。

最初に書いた通り、これは「テンプレート集客法 ver2.0」になります。その集客法が書かれたサイト(https://36baiureta.com/template/)を見れば、市区町村の「くらし便利帳」を装った法人集客サイトを使い、中小企業・個人事業主の見込み客を大量に開拓するのが目的だとわかります。

狙った地域の法人リストを充実させ、見込み客にメールで売りたい商材を宣伝する。そうすれば、効率よく販売できるというのがウリです。しかも、「テンプレート集客法 ver2.0」の購入特典には、市町村別・全業種メールリストを付けると書いています。

こんなことをしている会社なので、登録したら最後、情報があちこちに渡っても不思議ありません。個人情報保護方針の情報提供に関する項目には、「次の場合を除き、お客様の個人情報を第三者に開示または提供しません」と書いていますが、メールリストを付ける時点で首をかしげたくなります。

個人情報保護法の点からいえば、6ヶ月以上継続して5,001件以上の個人情報を有している事業者は、プライバシーマークを取得しないといけません。法人のデータだからという見方もできますが、個人事業主を含め5年間で9,354社のデータを集めているとあります。まともな企業なら取得に動いていいように思いますが、サイトを見る限りプライバシーマークは見当たりません。

【余談】

Tポイント関連の利用情報は、加盟店に横流しされています。例えば、Yahoo! JAPANカードの個人情報の取り扱いに関する重要事項を見ると「個人情報の取り扱いに関しては、YJC会員規約が適用」とあり、その下に「ヤフーの提携先の事業に関するお知らせ、宣伝物、印刷物などの営業案内または景品や商品を送付」とあります。提携先に情報を渡しているから、広告的な案内が来るのです。

 

「くらし便利帳」を騙る理由

彼らが「くらし便利帳」を騙るのには理由があります。その最たるものは、レスポンス率でしょう。「テンプレート集客法 ver2.0」のQ&Aに、「メールDMに3%のレスポンスはなかった。どこが悪かったのか?」という質問があります。

そこに、「メール差出人の表示は【***市|くらし便利帳】と設定してください」とあります。メールの文面も、『【東大阪市|くらし便利帳】の西田と申します』といった具合に始まります。これは、「警察の方から来ました」みたいな言い回しで、自治体からだと勘違いさせる狙いがあるのでしょう。

お陰で、その市区町村に問い合わせや苦情が寄せられているようです。例えば、長野市では「長野市くらし便利帳」というウェブサイトへの登録を勧めるメールが届いたという問い合わせが複数届き、長野市が発行している「ながのし暮らしの便利帳」とは関係ないと注意を促しています。

「暮らしの便利帳」といった感じの名前で、冊子を配っている市区町村は少なくありません。だから狙ったのでしょうが、市区町村としては誤認されて迷惑。利用者としても紛らわしいことこの上ない。こんな迷惑行為を集客法と称し、商材として販売している。それが事の真相です。

Q&Aのキャプチャー

ちなみに、法人でも個人事業主でもない私のところにメールが届いたのは、サイトの「お問い合わせ」リンクからメールアドレスを取得できたからでしょう。リンクタグで「mailto:」の後にメールアドレスを書けばメーラーが立ち上がるので、以前は多くサイト管理者がそうしていました。

ただ、そうすると「mailto:」で書かれたアドレスを拾うプログラムにより、簡単に回収されてしまいます。回収されたら最後、迷惑メールが来るようになるので、お問い合わせ用として使うアドレスは、普段使うものとは分けていました。

そのサイトを作った当時は、メールフォームの設置も楽ではなかったので、その名残として「mailto:」の「お問い合わせ」が残っていたのです。

 

くらし便利帳|茅ヶ崎市

登録URLは「http://kurashibenri.com/xxx/recruitment/」となっていて、「xxx」の箇所には市区町村に関する単語が入ります。「テンプレート集客法 ver2.0」を購入した人が狙っている市区町村名がそこに入り、使用期限が切れたらアクセスできなくなるようです。

サイト運営経験者ならわかると思いますが、「xxx」に当たる箇所はディレクトリ名です。ドメイン名である「kurashibenri.com」内に作られたフォルダ。ということは、「kurashibenri.com」がメインとなるアドレスになります。

「kurashibenri.com」にアクセスして出てくるのは、「くらし便利帳|茅ヶ崎市」です。ここから始まったのでしょう。おまかせホットライン株式会社の住所は神奈川県高座郡なので、近場からスタートしたと言えます。

 

おまかせホットラインとは

こんなことをして稼いでいる「おまかせホットライン株式会社」がどういう会社か、簡単に調べてみました。サイトによれば、2005年設立の保険営業マン・士業・コンサルタントの営業支援サービスを提供する会社らしいです。代表は田中正博氏で、著作に「36倍売れた!仕組み思考術」という電子書籍があるようです。

「テンプレート集客法 ver2.0」のほかには、ヴァーチャルオフィス・貸し会議室、メール配信システム(ドカンメール)、ランディングページ提供サービス(ドカンLP)、リスト提供サービス(ドカンリスト)などを行っています。

 

新たな集客方法を考える

このページに辿り着いている時点で、あのメールに対して懐疑的になり、怪しげな誘いに乗らなかったのだと思います。

でも、その正体を知って「騙されなくてよかった」と思うと同時に、「効果的な集客方法があれば……」と思う人もいることでしょう。

なので、そんな方に対して「アフィリエイトという方法もありますよ」と書いておきます。アフィリエイトは集客力のあるサイトを運営している人に、自分のショップを宣伝してもらい、そのサイト経由で成果が出たら報酬を支払うというものです。

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